「異国の鳥たち」について
第6回演奏会にて演奏予定の「異国の鳥たち」にスポットを当ててみました。
普段、あまり聴く機会がない曲ですので、これをきっかけに興味を持って頂ければと思います。
音楽監督からのメッセージ
複雑で混乱するかもしれません。
作曲家であり指揮者のブーレーズは次のように言っています。
「全ての鳥を同時に聞くことはできない。部分的に聞くことで全部を聞いたように感じるものだ。
全体を聞くことに意識を集中させず、それぞれの音に意識を分散させるのだ。まるで森の中にいるように。」
F1のレースの観戦で、全体を中継のように把握することはできないですが、
お目当ての車とライバルの車を追うことで全体を感じた気持ちになれます。
聞こえた音だけ感じて頂ければよいのです。
作曲家(オリビエ・メシアン)について
オリヴィエ・メシアン(1908-1992)は、20世紀の重要な作曲家の一人で、独特の音楽語法を開拓し、どの楽派にも属さない個性的な作風を確立した。
ドビュッシー以来、最も音楽史に強い影響を及ぼしたフランスの作曲家である、とも言われている。
フランス南部のアヴィニョンで生まれ、8歳の頃からひとりでピアノと作曲の勉強を始めた彼は、11歳でパリ国立高等音楽院に入学し、極めて優秀な成績を残した。
作曲家だけではなく、オルガニスト、教育者としても有名で、母校の教授となった彼は、ブーレーズ、シュトックハウゼンやクセナキスといった戦後の重要な現代音楽の作曲家達を育てた。
メシアンは作曲家であると同時に鳥類学者でもあった。彼は「芸術的な順位からいって、鳥類はわれわれの遊星上に存在するおそらく最大の音楽家である」と述べており、その作品は深く鳥と関わっている。
「異国の鳥たち」について
≪異国の鳥たち≫はブーレーズ主宰のドメーヌ・ミュジカルの委嘱で1955年から1956年にかけて作曲され、ルドルフ・アルベールの指揮とイヴォンヌ・ロリオのピアノで1956年にパリで初演された。
この曲は、広くアジアや南北アメリカに分布する47種類の鳥の声を素材にインドやギリシャの19のリズムを使用して、精密に構成する20世紀中期の傑作である。形態としては、ピアノと管楽器群や多彩な打楽器群との斬新な協奏曲で、13の部分からなる。
1.導入部
2.ピアノ・カデンツァ(キュウカンチョウとモリツグミ)
3.四羽の鳥の間奏曲、木管、シロフォン、グロッケンで奏される。(キビタイコノハドリ、ボルチモアムクドリモドキ、ソウシチョウ、オオムジツグミモドキ)
4.ピアノの小カデンツァ(ショウジョウコウカンチョウ)
5.四羽の鳥による間奏曲の続き。
6.三番目のピアノ小カデンツァ(ショウジョウコウカンチョウ)
7.ドラの烈しいクレッシェンド。雷雨、アマゾンの森に鳴り響く雷鳴。ソウゲンライチョウの鳴き声。
8.中心部のトゥッティ。打楽器で奏でられ、インドおよびギリシャのリズムを展開させて作られたリズムの四つの詩節に支えられて、すべての鳥が対位法的に歌う。
9.ソウゲンライチョウの鳴き声が四度響き、ドラのクレッシェンドが続く。
10.ピアノの非常に長いカデンツァ(ボボリングとネコマネドリ)
11.最終のトゥッティ。あらゆる楽器を用いた、非常に色彩的な対位法。(主なソリストとなるのは、インドのアカハラシキチョウ)
12.ピアノの短いカデンツァ(モリツグミとショウジョウコウカンチョウ)
13.ハクオウチョウの執念深い鳴き声で作品は終結する。
曲中に現れる鳥たち
曲中に現れる鳥たちを表にしてみました。
鳥マークをクリックして頂くと外部サイトに飛びます。(安全なサイトです。)
Listen to recording ボタンで鳴き声が流れます。
演奏会のご参考になさってください。